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実際の気体と液体の漏れ量比

一般的にエアーと液体(水、油)の漏れ量はハーゲンポアズィユの法則に従い粘度と圧力により決まります。但し、漏れ穴が円管で表面が滑らかな条件としています。現実には巣漏れや溶接不良によるピンホールは凹凸やくびれがある複雑な形状の粗面です。このような場合は気体と液体の相関は完全に理論式にあてはまるとは限りません。
実際には微小漏れにおいては、エアーで漏れても液体では漏れないという現象がおきます。多くの場合微小漏れではエアーと液体の漏れ量は理論以上の大きな漏れ量比となります。これは液体と漏れ穴内面に表面張力が働き流量抵抗が増大するためと考えられます。

【漏れ量比較実験の注意点】
気体と液体の漏れ量は異物が原因となり相関がとれてないことが多くあります。特に一度液体で漏れた漏れ穴に対しエアーで計測すると漏れ量が小さくなったり止まったり再現性を得ることは困難になります。漏れ量の比較実験を行う場合には必ずエアーでの試験を最初に行うようにして下さい。

【補足】
ハーゲンポアズィユ(Hagen Poiseuille)の式

気体の場合(圧縮性がある)

液体の場合(圧縮性がない)

いずれも近似式です。

記号

リーク量 : Q[atm mL/s]

大気圧 : P0 = 1.013 × 105[Pa abs]
細管入り口圧力 : P1[Pa abs]
細管出口圧力 : P2[Pa abs]
平均圧力 : ¯P[Pa abs]
穴の直径 : 2 a[m]
穴の長さ : L[m]
流体の粘度係数 : η[Pa・s]
1 Pa・s = 1 kg/m・s = 1 N・s/m2 = 1000 cP = 10 Poise または g/cm・s

気体と液体の漏れ量比を求める理論式

Qa: エアー漏れ量(atm mL/s)
Ql: 液体漏れ量(atm mL/s)
ηa: エアー粘度(Pa・s)
ηl: 液体粘度(Pa・s)
Pa: エアーテスト圧(kPa)
Pl: 液体テスト圧(kPa)

【補足】
同じ気体でテスト圧を変更した時、変更後の漏れ量は次の式で求めることができます。

漏れ量の式
P1: 変更前のテスト圧(kPa)
P2: 変更後のテスト圧(kPa)
Q1: 変更前の漏れ量(mL/min)
Q2: 変更後の漏れ量(mL/min)
パッキンによるシール部分の漏れのようにテスト圧を変えると漏れ穴の形状が変わる可能性のある場合の漏れ量比は理論式と異なります。